先月の暮れ頃だろうか。一対の燕がアトリエに巣を作り始めた。 時おり響く鳴き声にも徐々に慣れ始め、つい先日に二羽のヒナが生まれた。 暫くして未成熟の卵が捨て落とされた。 彼らの日々のやり取りを見守るのが日課になり出し、 僕の活動に合わせ昼夜逆転の生活になりつつも、 ヒナたちは瞬く間に成長していった。 僕のアトリエには小鳥と猫と子供がよく来る。お客さんはあまり来ない。 知人と入り口付近で話込んでいるといつも来る子供たちが、 遠くから僕の名を呼びながら駆け寄ってきた。 子供は好きではない。でも嫌いでもない。 今日は気が乗らないので軽くあしらう。 注意を惹きたい彼らは「タバコは体に悪い」だの「ヒナがかわいそう」だのと捲し立てながら、 アトリエ中央にある燕の巣の下で親鳥を待つヒナを観察していた。 その時なぜ僕は気付かなかったのだろう。 さっきまで2種類聞こえた鳴き声が1種類しか聞こえない事に。 子供たちが帰り、知人も帰り、僕はそのまま出かけ西日が射す頃に帰宅した。 アトリエのシャッターを開けた時、僕の目に何かが写った。 部屋の中央には念のためにと敷いておいた木屑に埋もれたソレが見えた。 木屑に残された小さな足跡の真ん中にソレはいた。 人は無意識に何かや誰かを殺している。 だから何が言いたいという訳ではない。 「ケイは怒らないね。」と子供は言う。 泣いているんだ。心の中で。 この世の生物の愚かさと儚さに。
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毎度毎度、告知がぎりぎりになってしまうのは
どうやら性格が原因らしいです。 事前に言葉にしまうとそれで満足してしまうのでしょうか。 何故かワクワクが落ち着いてしまうのです。 今回はNEXCO中日本後援で 北陸自動車道尼御前サービスエリア(下り)にてお昼にライブを行います。 主役としての音楽ではなく、 生活のBGMになるような曲が好きな事に最近気付きました。 生活の主人公はあくまで皆さん自身ですから。 その生活空間をちょこっとコーディネートしてみたいと思います。 今週の日曜日のお昼は加賀まで出かけて お食事、お茶、一服、読書などしてみてはいかがでしょうか。 1. a thing given in recognition of service, effort, or achievement. 2. give something to (someone) in recognition of their services, efforts, or achievements. 今月に入ってからというもの、毎日のようにバイクでひたすら走り続けている。
何か目的はあるはずだけれども、いつもそれはそこに辿り着くまで思い出されない。 人は考える事が出来る。 行動する事が出来る。 愛する事が出来る。 それでもそれらの能力を的確に用いる事は中々できない。 道の真ん中に角材が落ちていれば、 引き返して道の端に寄せる。 前面をホイールキャップの外れそうな車が走っていれば、 信号待ちで駆け寄って運転手に知らせる。 林道で転倒しているライダーがいれば、 駆け寄って手を差し伸べる。 それでも、 立ち寄った東屋の濡れた床に張り付いて藻掻く蛾に 手が差し伸べられることはない。 No human, no kill. 誰もが犠牲を伴い明日を生きる。 誰もが責任を背負い昨日を生きた。 誰かが何かから目を背け、今を生きている。 日曜の夜、帰宅後にヘルメットにこびり付いていた羽虫は38匹。 車体にはもっと多くの亡骸がいる。 1200kmの道のりでたくさんの経験と感動を得た。 38+αの命と引き換えに。 僕は今日もバイクに跨がる。 |
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November 2023
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